私より少し早い時期に会社を設立し、ウェブ関連の仕事をしている友人がいる。やはり、年々忙しさは倍増。昨日、ふと彼女に「社員とか取らないの?」と聞いてみた。
彼女は、「取らない」とキッパリ
私同様、彼女は、得意ジャンルを持つ外部スタッフと連携し、上手につきあう形で仕事を進めている。今後も変える気はまったくないらしい
思えば、9年程前、会社経営とはどういうものかも分からずにそれまで貯めてきたわずかな貯金と親から借金したお金をかき集め、法務局へ行き会社を設立した。それは、
雑誌を作りたい一心からだった。
AG〜Adventure Girls〜という自社媒体を作り、わずかではあるけど書店で販売していた。創刊するとこれまた、わずかだけどありがたいことに、定期購読しtれくれる人も現れた。当時、たまたま
短大卒で20代女性という珍しさから就職情報誌から取材依頼を受けることがあった。記事が掲載された後は、履歴書が100通以上送られ、ある日突然訪問されることもあった。しかし、プライベート空間とオフィス空間がインド綿一枚で仕切られただけ。そのカーテンの隙間からは私の洗濯物がちらつく編集部
。女性誌で紹介されるような、テレビドラマの主人公のようなカッコイイ女性編集者でもない。面接に現れた子の中には、玄関の扉を開け一目その空間を見た瞬間に扉を閉めて引き返す子もいた
でも、そんな環境など気にせず、一緒に雑誌を作ろう、編集の仕事をしようと集まって来たスタッフも何人もいた。ワンルームのマンションはいつも朝から晩まで賑やかで、インド綿の奥に潜む時間はほとんどなかった。私同様、高卒で編集未経験というスタッフがひとり。彼女が一番長くこの会社を支えてくれていた。アメリカに行きたい!と面接で夢を語っていたのを知りながら、わざと意地悪
して、マレーシアの出版社へインターンシップで送り込んだり、海外取材の仕事が入っても、欧米ではなく、アジアばかり担当にしていた。しかし、彼女は何をさせても、どんなに私に怒られても、引き受けた仕事はコツコツ最後までやり遂げた。
でも、結局、雑誌は休刊。続かない。
雑誌を作ることと会社を経営することは違う能力だということがよくわかり、自分はどちらも中途半端だということを悟らざるをえなかった。
その後、現在に至まで、個人商店の身の丈サイズで仕事をしている。そして、その彼女とはフリーライターとして今もつきあっている。先日、あるタレントさんの取材を御願いしたら、完璧な原稿を仕上げてきた
最初の失敗があるからこそ、会社経営とは何か、察することはできる。でも、自分にできるかどうか、また、したいかどうかというと、やっぱり疑問だ。私は会社経営ではなく、雑誌作り、取材現場が好きなだけだ。
自分にはカリスマ性もない。だからワンマン経営も通用しない。となると、やっぱり身の丈個人商店で自分にできる範囲の仕事をして、いろんな人と上手に連携を取っていく……のが得策なのかなぁ[:ふぅ〜ん:]